第三話 お姫様とお嬢様

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「取り返したいねえ……」 玲奈が公園を去ってから、兵志は日が暮れるまで公園にいた。 ――そんな会話が交わされた翌日。 「おはよう、姫香」 「ええ、おはよう」 気まずい雰囲気の中、二人は挨拶をした。 それからしばしの沈黙が続き、兵志が先にその沈黙を破った。 「あのさ、昨日の電話はどういう意味か教えて欲しいんだけど……」 「ああ、あれはね、作戦なら私が一人で考えたから問題ないってこと」 「えっ?一人でって、去年みたくなったらどうするんだよ」 「大丈夫だって。あの女がどれだけ奇策をかけようとも、今年の作戦なら対処出来るから」 去年は負けているくせに、これほどまでに自信が持てる理由は一体なんなのか。 相双祭を翌日に迎えた日の放課後、西軍全体会議で作戦は明らかにされた。
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