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「聞こえなかった?だから、作戦の核である重要機密を簡単に漏らすわけにはいかないでしょ」
「だから、意味もなく適当につけたのか」
「その通り!これであの女も慎重になる。そこに追加の奇策を仕掛ける」
姫香の勝利への揺るぎない自信が、会議室に響く。
「「これで勝ったも同然ね!!」」
――時を同じくして、東軍作戦会議室では同じセリフを玲奈が言っていた。
「当たり前ですよ、玲奈様。なにせ、去年の策士に私という天才が加わっていますからね」
臣成も、自身のナルシストぶりを大いに発揮して発言する。
「もちろんだ。臣成、貴様が本作戦の要となることを忘れるなよ」
「はい。それはもう、誠心誠意やらさせていただきますよ」
好きな人を諦めなかった、彼が掴んだ千載一遇のチャンス。
「待っていて下さい。私の愛すべき姫よ!」
作戦会議中にも関わらず、敵のことばかりを考える臣成に心底落ち込む玲奈。
「まったく、あのアホは……」
『あれがなければ、愛しの姫も手に入るってのに』
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