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なぜなら、中からは想像していたのとまったく違う可愛らしい人形のような女の子が現れたからだ。
どこが筋肉隆々の戦士だ、なにが肉弾戦で敵を圧倒しただ。
なんの変哲もない可愛い女の子じゃないか。
「姫香様、こちらが今年のお相手でございます」
女性は降りてきた少女に目の前の少年を紹介した。
「おはようございます。 私は内藤兵志と申します。 どうぞ兵志とお呼びください」
緊張に支配された脳で必死に挨拶と自己紹介をする兵志。
「うむ、おはよう。 私は最上姫香だ。 これから一年間よろしく頼む」
明るい中にも凛とした調子で姫香も挨拶をした。
「それでは姫香様、 私どもはこれで。 お帰りになられる際はご連絡ください」
女性は一礼してリムジンに乗り込むと、素早く発進して行った。
予想外の容姿に緊張で固まる兵志と、その隣で兵志をじっと見上げている姫香。
しばらくの沈黙が続く中、我慢できなくなったのか、姫香から兵志に声をかける。
「ねえ、兵志」
「は、はい! 何でしょう、姫香様?」
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