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「すぐに見つかったから良かったものの、もし敵に遭遇していたらどうするつもりなんですか?」
「はい、おっしゃる通りです」
出発する直前までとは打って変わり、ハキハキとした島崎に兵志は謝ることしか出来ない。
「それじゃあ、仕切り直して行きますよ」
再び二人で進み始めるも、またすぐに差が開いた。
「あ、あの島崎さん。ちょっとペースが速くない?」
「そうですか?私はこれでも遅めのペースだと思うのですが」
兵志の言葉も簡単に受け流し、ずんずんと先を進んでいく。
相双祭開幕の知らせから約十分後、二人は敵の領土に進入していた。
「おかしいですね……」
先を進んでいた島崎が急に立ち止まる。
「えっ?なにが?」
後ろから少し遅れて付いてきている兵志は、呼吸を整えながら質問した。
「私たちはすでに敵の領土の中なのに、少しも人の気配がありません」
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