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「それは……」
島崎は、兵志の言葉に答えられなかった。
こうして、二人の間に沈黙が流れる……かと思いきや、西軍の最前線を行っていた臣成が草の繁みから現れた。
「罠の意味なら、私がお教えしましょうか?」
「お前、どうしてココに?」
「どうして、とはまさに愚問!私が現れる場所といえば、あの方の傍に決まっているでしょう!!」
『ああ、そうだった。御門臣成とは、愛した女のことしか考えられない奴だった』
「でも、どうやらハズレのようだな。僕たちはオトリだ」
兵志は、自らの仕事をきちんと終えた実感に酔い、皮肉たっぷりに言ってやった。
「フフフッ……それはどうでしょうか」
臣成は、余裕を持って返す。
「ど、どういうことだよ?」
「あなたの後ろにいる……いや、あなたの後ろにいらっしゃる方、彼女が誰だか知らないのですか」
「知らないのかだって?この子は一年生の島崎さん。今回の作戦のパートナーだ」
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