第四話 目指す理由

6/28
前へ
/124ページ
次へ
「そう、一年生の島崎香奈。彼女は、私たちと同じ養成科に所属する後輩です」 臣成は、兵志に向かって話し続けた。 「そして、彼女の成績はランクCの中でも下位になります。……ランク付けについては、理解していますよね?二年生のあなたなら」 「ああ、上からS・A・B・C・D・Eの六段階の総合相対評価。そして、年度終了時にランクEに該当する者の一部は留年だろ?」 去年、玲奈に耳が痛くなるほど言われ続けていた兵志は、スラスラと言ってみせた。 「その通り!そして今、私が言った彼女のランク」 ここで、臣成は兵志に向かって指を差した。 「……つまり、これらが意味するものとは、彼女とあなたの能力差です」 「能力差?」 「そうです、いくらあなたが過去にEランクだったとしても、新入生でCランク下位の彼女に能力で劣るわけがないんですよ!!」 臣成のこの言葉に、兵志は自らが少なからず評価されているということに気づいた。 「お、おう。……それで結局、何が言いたいんだよ」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加