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「結局、今あなたの後ろにいる彼女は島崎香奈であって、そうじゃない……」
そう言いながら、臣成は一歩ずつ兵志たちに近づく。
そして、兵志の数メートル先で立ち止まり、指をさして言った。
「そろそろ偽りの殻を脱いで、出てきたらどうですか?」
「主科二年生、東軍大将。我が愛しの最上姫香様!」
「!!!!」
思いもよらない言葉に、兵志は空いた口が塞がらない。
それもそのはず、一年生の島崎香奈だと思っていた人物が、実は東軍大将で自らの相方でもある、最上姫香だと聞かされたからだ。
「……い、いきなり何を言い出すかと思いきや、ここにいる島崎さんが姫香だって?」
「そうです」
「どう見ても、養成科一年生の島崎さんだろ?ついにお前も幻覚を見るぐらいにおかしくなったのか?」
「まあ、端から見れば島崎香奈、本人でしょう。しかし、私には分かります。サナギのように、実は中で美しい蝶が今か今かと出る時を待っているのだと」
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