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「それでも、僕はお前たちを足止めする。それが姫香の、僕の主の願いだから」
兵志が引き出した、自らの答え。
その提案に、臣成は一瞬ムッとしながらも、すぐさま笑みを浮かべて答えた。
「わかりました、いいでしょう。あなたの相手をしてあげます」
「ただし、足止めはさせません。どうせなら、あなたが惨めなまでに叩き潰されるのを見学していって貰いましょう」
嬉々として話す臣成。
「ハンデはもちろん有りませんが、私と一対一で勝負してあげましょう」
この言葉に、兵志らの周りを囲っていた東軍の人びとは皆笑った。
「それは、さすがに酷くないですか?御門先輩」
「でも実際、そうでもなきゃ楽しくないでしょ。まあ、結果は見えているけどね」
反対に、押し黙る二人。
「ねえ、知ってる?結果が分かっている戦いは、勝負って言わないのよ?」
この一言で、人びとは大笑いした。
そして同時に、この一言が我慢していた姫香の逆鱗に触れた。
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