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「おい、お前ら。私の相方であるこの男を侮辱したってことは、相当な覚悟があってのことだろうな?」
瞬時に取り巻く空気が冷え、囲っていた人びとの表情もどんどん強張っていく。
そんな中、臣成だけは唯一顔色を変ることなく言葉を返す。
「まあまあ姫香様。何を言われようとも、彼が私に勝てば良いだけの話しじゃないですか」
まるで、こうなる展開になると予想していたかのような振る舞い。
そんな姫香が苛立ちを隠せない中、兵志はその場にいる誰もが思いもしない言葉を口にした。
「そうだよ、姫香。勝てば良いんだよ」
「!!?」
「ハハハッ、とんだ戯れ言ですね」
臣成は兵志を心底馬鹿にするかのごとく、ただ見下すように笑った。
「そうだぞ、兵志。お前、自分が御門の野郎に勝てるって本当に思っているのか!?」
「ずいぶんと酷い言い方だな。姫香は僕に勝って欲しくないの?」
兵志は、苦笑いしながら姫香に問う。
「そ、それは……」
姫香は、何と答えていいか戸惑って黙る。
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