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姫香は兵志の様子に、聞いていた噂を確かめずにいられなかった。
「やっぱり、あんたが噂の兵志ね?」
兵志は、姫香のいきなりの発言に驚きを隠せなかった。
「あの…… 噂とはいったい何のことでしょうか?」
「はあ、なんでEランクのあんたがSランクの私と組めたのか不思議でしょうがないわ」
言いたいことを躊躇せずに言う姫香は、今の兵志にとって脅威でしかなかった。
「まあ、しょうがないか。 それじゃあ行くわよ」
意見も何も言えぬまま、兵志はさっさと前を歩いていく姫香の後を追った。
「なんで僕がこんなじゃじゃ馬なんかと……」
兵志は姫香に聞こえないぐらいの小声で、つい愚痴を漏らしてしまった。
それが姫香の最強と言われる理由を解き明かす引き金になるとは知らずに。
「おい、兵志!」
姫香はいきなり後ろを振り返り、口調が暴力的に変わると同時に目つきまでもが鋭く変わる。
「お前、今なんて言ったんだ? ちょっと聞き取れなかったからよ、私のためにもう一度だけ大きな声で言え!」
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