第一話 出会いは不意に

6/15
前へ
/124ページ
次へ
「それはそれは、お褒めに預かり光栄でございます」 「いや、褒めたつもりは無いんだが」 『はあ、今年もこいつと絡まなければならないのか……』 彼は、成績優秀・容姿端麗で我がクラスのエリート、御門臣成(ミカド トミナリ) ちなみに、実家は資産家で超がつくほどのお坊っちゃん。 しかし、去年の春に彼が入学してきたのは養成科。 [富豪の子は主科に所属する]というのが、これまでの常識。 あえて常識を破る理由とは一体何なのだろう? それが当時、学年中で話題となっていたことだった。 まあその理由なんかも、世間的にゴールデンウィークと呼ばれる五月の大型連休明けに、すべてが知れ渡ったのだけれども…… これからの臣成をよくよく観察していけば、話さなくてもその理由をすぐに解明できるであろう。 「で、お前は今年もこっちなんだ」 「もちろんですよ。 チャンスが訪れれば、いつでも彼女と組めるのですから」 「いい加減にしとけよ。 お前は去年の暴走が原因で嫌われたんだからな」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加