山の神様

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悠『一樹~、遊びに行こう~』 一樹「うん!」 そう言って素直に着いてきてくれる弟 一樹「今日も探検に行くんでしょ!」 目を輝かせながら問う 悠『当たり前!』 元気よく返事を返す。 私たちは、休みになると決まって裏山で遊ぶ。 なぜなら、昔っから母に、 「裏山は、広くてなにが出るかわからないから、絶対に入っちゃダメよ」 と言われた。 人間なら誰しも 「入っちゃダメ」 と言われれば入りたくなるものだ。 皆さんは違うかな? そんなことで、今日もいつも通り山へと入るのだった。 悠『今日はいつもより奥に行こう!』 そう言って、山道から横道に入る。 まぁ、山道と言っても私たちが歩いているうちに出来た獣道のことだ。 悠『確かこっちの方は石穴があるんだよね?』 石穴とは、私達兄弟が呼んでいるだけで本当の呼び方は知らない。 その石穴は、昔石の採掘をしていたらしくそのあなはやたらでかくて深い。 そんな、石穴に小石を投げて遊ぶのも私達の楽しみの1つだった。 一樹「おねぇちゃん、石穴には近づいちゃダメだよ!」 悠『なんで?石落とすの楽しいじゃない』 一樹「でも…」 悠『うるさい、嫌なら一人で帰ればいいじゃない』 一樹「おねぇちゃん…」 そう、この時は弟の言うことを大人しく聞いていればと後悔するとは思わなかった。
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