28693人が本棚に入れています
本棚に追加
「そろそろ息切れしてきたか!?土方」
「抜かせ!!」
まだ……息の一つも乱れてねえよ、と強がりを吐く土方。
「その割に、顔は必死だな」
強行的な信長とは逆。
冷静に状況を把握し、最善のタイミングでヒカルは攻撃を仕掛け続ける。
「わざとに決まってんだろ!!」
信長の攻撃を捌きながら、ヒカルの攻撃にも刀の力で応戦する土方。
(これだけ信長が接近戦で挑んでいるというのに……)
周囲がよく視えている。
私とヒカルへ対しての警戒も、決して怠らない。
「……土方」
確かに個々の力ではお前に劣るかもしれない。
「それでも、」
(今回は――……)
「私たちの……勝ちだ!!」
腕も足も、ハラワタでさえ失おうが構わない。
勝利とは得てしてそういうものなのだから。
“勝利とは自己犠牲の上に成り立つ”
例え、すべてを失って得るものがなかったとしても、勝ったという事実にこそ意味があり、その先にある命を救えることだってあるのだから。
(それを、私は国王から学び、また十兵衛から教わった)
だから―――――!!!!
「信長!!どけ!!!!」
退(の)け入るようにして無理矢理、信長と土方の間に入る。
「ようやく、神様のお出ましか」
「デートに遅れるのは女の役目だろう?」
そういうと、待ち人同士が抱き合う代わりに、私と土方は互いの刃を重ねた。
最初のコメントを投稿しよう!