闘い続ける者たち

241/323
前へ
/1227ページ
次へ
頭の中に鳴り響く、レベル10万を越える警報。 それは最早、警報というよりも危機を知らせる警鐘に近い。 しかし、その警報が知らせる内容よりも、私の意識は目の前の刀に向けられた。 地獄の業火というべきか、漆黒の炎を纏う抜き身の刃。 あまりにも禍々しいそれは、神や光とは対極。 かけ離れた代物。 「“このゲーム”を生み出した人間が造り出した王の魂、」 利用させたもらったぜ、と土方はいう。 「……クズが」 私は歯を食いしばり、手の中の槍を握り構える。 ようするに土方は近藤を、レッドキングダムの国王の魂を奪う為の犠牲にした。 近藤がレッドキングダムの主力を相手にしている間に、何らかの方法で国王の命を、その魂を奪ったのだ。 (おそらく、国民を人質にとっての交渉……) 主力が出払った中、国内は薄手となる。 そこを狙った理不尽で不平等な取引。 (あの人間以上にヒトである国王なら、自害の道も……或いは……) そして、その魂を奪い、刀に込めた。 もし、そうだとしたら……。 (私が、一番嫌いなやり方だ……!!) 「……どういうことだ?」 視線を土方の持つ刀に向けながら、私に問いかけるヒカル。 「ふざけたことをしてくれただけだ」 私の警戒さを伺ってか、自然とヒカルも同じように身構える。 「……つまり?」 ゆっくりと息を吐き、ひと呼吸してから、私はそのヒカルの問いに応える。 「つまり、奴はお前が知りたい情報の一つを使って、刀に魂を宿したということ」 それも、レッドキングダムの国王という、最強のプレイヤーの魂を利用して。 「――――“新たな兵器”を創り出したんだ」 目の前に広がる未知数の力を前に、私は今まで数えるほどしかない、嫌な気配を感じ取った。  
/1227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28693人が本棚に入れています
本棚に追加