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「ヒカルとかいったか?」
まるで下々の民を見つめるような、蔑みと冷たさを持ったその眼。
「お前の持つ刀がブラックアウトの三大兵器の“ゼウス”だとして」
それで何かが変えられたか?
「世界が救えたか?」
未だ変化のないこの世界で、土方のその問いは逆説である否定を意味する。
「光刀を持った人間でも無理だった、神と名乗る人間でも同じだろう」
慌てず、ゆったりと、ただ威風堂々とした王の歩み。
土方は絶望の塊のような刀を携え、近づいてくる。
「選ばれた者?運営の人間?」
そんなのはもう、うんざりだ。
「神に頼るのはもうヤメだ、光にすがるのは傍観者だけで充分!!」
これから先は、闘い続けてきた者たちの戦争。
「――――逆襲だ!!!!」
まるで、その狼煙を上げるかのように、一層に燃え盛る刀の業火。
(恐ろしく強い執念……)
そして、決意。
思わず気圧されそうになる力の圧力に、私は眼を細め姿勢を屈める。
「凄まじいな……」
土方の強大な力を目の当たりにしながら、何処か腑に落ちない顔をするヒカル。
そんなヒカルの言葉など耳にすることもなく、土方は言葉を続ける。
「運営に創り出された三大兵器なんてのは所詮、想定の範囲内の代物」
だが、これは違う!!
「この刀は異端だ!!異端にして異形!!ルールの範囲を越える兵器!!!!」
地獄の底、冥府の王のように、傲慢に高らかに土方は酔いしれた嗤いを上げる。
「お前の刀が“ゼウス”なら」
これは“ハデス”。
「人が人を捨てて尚、追い求め、たどり着いた、執念の成りの果て……!!」
神か人間、どっちが強いか――……。
「勝負しようじゃねえか!!!!」
絶対だと信じる自分の信念(正義)を振りかざしながら、有無を言わさず第二の衝突が始まった。
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