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左右へと分かれ展開する私とヒカル。
呼吸を合わせるように、それぞれ土方の真横まで旋回すると攻撃を仕掛ける。
神刀の力の一部なのか、ヒカルの手にする刀から生み出される白煙と黒煙。
それが絡み合うようにして軌跡を残す。
合図などない。
同じレベル、領域にいる者だからこそ分かる攻撃の間。
絶妙と呼べるタイミングで双方の刃が標的を捉え交差する。
――――圧縮と膨張。
その衝撃の強さを物語るように爆ぜていく空気。
土方の足元を爆心とするように、氷の床は砕け、舞い上がり吹き飛んでいく。
「なるほどな……」
しかし、立つ。
「これが、トッププレイヤー共の一撃か」
吹き飛ばされることもなく、ただ悠然と。
漆黒の炎を身に纏いながら、斬撃をものともせず。
「大したことねえな……」
(なんだと!?)
刀で受け止めることさえせず、その刀身から生み出される黒炎だけで防いだというのか?
「もっと本気でこいよ」
土方はそういうと、すっと刀を振り上げただ一閃に薙ぐ。
「ぐっ!!」
刀を降る、ただその行為だけで生み出された衝撃波。
それによって私とヒカルは、容易くその場から引き剥がされる。
「神と名乗りこの程度か?」
神と言われその程度か?
「笑わせんなよ」
揺らめき立つ炎の中、土方はいう。
「あまり脆(弱)いと、試し斬りにすらならねえんだよ」
自身の強さが絶対だと、より一層その勢いを増して立ち上らせながら、ただ。
(……強い)
ただ、そういった。
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