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――――永久凍土。
どんな激しい炎に焼かれようとも、氷であることをヤメようとしない場所。
振りかざす炎の中、未だ氷の手と眼をしている相手は、同じく変わらない、知っている土方という人間なのだろう。
”氷炎(コールドフレイム)“
目の当たりにして、初めて分かるその違和感。
不可思議な光景。
燃え盛る火に包まれながら尚、時間が静止したかのように溶けだすことのない氷。
(まるで奴自身が氷と炎の対極を示しているかのような……)
そんな――――。
「もう一度だけいうぜ?」
そのままでいいのか?
挑発ではなく、最終警告。
(今、この機を逃せば、お前ら如き軽く叩き伏せる……)
“二度目”の言葉はこれ以上ない脅し。
そして、それを口にするだけの充分な力も、今の土方は所持している。
(王の器か……)
「そうか……」
横で、今にもその力を解放しかねないヒカルを横目に、私はため息を一つ吐く。
「左腕一本で相手にするには流石に失礼だったか」
悪かったな、と悪びれもせず言葉だけを紡ぎながら。
「生憎、どこかに置き忘れてきたみたいでね」
でも、安心してほしい。
「義腕(代わり)はすぐに用意できる」
そういうと、私は失われた右腕に対し、能力を発動させた。
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