闘い続ける者たち

245/323
前へ
/1227ページ
次へ
――――永久凍土。 どんな激しい炎に焼かれようとも、氷であることをヤメようとしない場所。 振りかざす炎の中、未だ氷の手と眼をしている相手は、同じく変わらない、知っている土方という人間なのだろう。 ”氷炎(コールドフレイム)“ 目の当たりにして、初めて分かるその違和感。 不可思議な光景。 燃え盛る火に包まれながら尚、時間が静止したかのように溶けだすことのない氷。 (まるで奴自身が氷と炎の対極を示しているかのような……) そんな――――。 「もう一度だけいうぜ?」 そのままでいいのか? 挑発ではなく、最終警告。 (今、この機を逃せば、お前ら如き軽く叩き伏せる……) “二度目”の言葉はこれ以上ない脅し。 そして、それを口にするだけの充分な力も、今の土方は所持している。 (王の器か……) 「そうか……」 横で、今にもその力を解放しかねないヒカルを横目に、私はため息を一つ吐く。 「左腕一本で相手にするには流石に失礼だったか」 悪かったな、と悪びれもせず言葉だけを紡ぎながら。 「生憎、どこかに置き忘れてきたみたいでね」 でも、安心してほしい。 「義腕(代わり)はすぐに用意できる」 そういうと、私は失われた右腕に対し、能力を発動させた。  
/1227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28693人が本棚に入れています
本棚に追加