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――――新選組屯所上層階付近。
「何が起こっている!?」
屯所を二つに裂くような衝撃。
既に上層階は跡形もなく吹き飛んでしまっている。
そして、それとは別に新たに頭上高く生まれる氷の大地。
我輩はフライシューズと”瞬速“を使い崩れ去る瓦礫を避けて外へと回った。
「一人上空にいるぞーー!!」
(見つかったか……)
姿を晒せば敵に見つかる。
二万五千という決して少なくないチームを相手にすれば、それは当然だろう。
(他の皆は無事か?)
戦況を一度確認する意味で含め、我輩は声のする地上へと視線を向ける。
眼を凝らすが、浅葱色の羽織の中で見える白い点は僅か二つ。
我輩と神を除いても、あと三つ足りない。
(牛若丸……)
描く剣閃で判断出来るのは牛若丸のみ。
もう一つは誰か分からない。
二人で出た孫権と曹操のどちらかなのか、または久しく前線へと出ていなかった清盛か……。
(それとも……)
お前なのか?信長。
闘い続ける限り、いつかは死が訪れる。
それでも、さよならもなく別れることの後悔は耐えられるものではない。
(生き残れよ!!)
生き残ってくれと、願いを込めるつもりで強く刀を握り締めると、未だ空に浮かび続ける氷の大地へ向けて、我輩は疾り出した。
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