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「おいおい、そんな眼で見るなよ」
感じちまうだろう?と冗談を言う余裕すらある土方。
「神殺しの王か……」
これからプレイヤーを先導するのに丁度いい。
「それも”二人”だ」
それぐらいの箔(はく)があってこその王様だ、と土方は口元を釣り上げいう。
「もう、倒した気でいるのか?」
「気が早すぎだろう」
ヒカルと私。互いに眼で合図を送りながら、その言葉に返す。
(機会は私が作る……)
だから、その間に容赦なく決着をつけろ!!
このまま無駄に暴君に嬲(なぶ)られるのは御免だ。
「気が早すぎるだと?」
おいおい、と自虐的に嗤いを噛み締める土方。
「どれだけ“待った”と思ってるんだ?」
この時、この瞬間を!!
「ただの人間が!!神(運営)や神(選ばれた者たち)を越える為に、地べたを這いずり廻って、どれだけ辛酸を舐めてきたと思ってやがる!!!!」
その想い、願いを。
「今ここで――――」
抱えて、死ね!!!!
(まずい!?)
最大限に込められた”悪意”は、大蛇(オロチ)のように八岐(ヤマタ)となり出でる。
獣を越えた獣。
八種八様、それぞれの龍頭が蛇行しながら標的を射ようと獲物を捉える。
(こんなモノ喰らったら……!?)
私の防御では肉体ごとぶち抜かれる。
襲いかかる闇が描く牙。
(くそ!!)
最大限に心力を発揮させ、私は全身を防御する。
「ったく、着いた途端こんな状況か……」
瞬間、目の前の悪意は一掃される。
(何だ?)
まるで死神のような黒衣を纏いながら……。
「待たせたな、神」
織田信長が、そこにいた。
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