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恐ろしい程の強い命力。
まるで別人のようなその命力量で、一瞬のうちに土方の攻撃をかき消した信長。
「信長……お前!!」
(本当に、お前なのか?)
確かに信長の持つ不倶戴天の能力、“羅刹の黒”ならば闇の属性を含んでいる。
問題はその威力。
(これほどの瞬発力を生み出せるなんて……一体)
「何が……あった?」
自然と口から出る疑問。
「なあに」
地獄から戻ってきただけだ、と信長は髭に指先を触れそう答える。
「久しぶりじゃねえか、信長」
刀を肩に背負(しょ)いながら、眼を細め睨む土方。
「生憎、“ココ”はお前がくるところじゃねえよ」
王と神の闘いだ。
「ただの人間は引っ込んでろ!!」
そういって、一層纏う力を解放し誇示する。
「相変わらず、用のない人間にはクソッタレなことしか言わねえな、土方副長」
唾を吐きかけるように言い捨てる信長。
「土方”局長“だ、信長」
「敵に敬称を強要するなよ、土方ぁ」
土方に対抗するように、信長は己の力をわざと見せつける。
「貴様!?」
「王と神の闘いだ?」
なら尚更、だ。
「尚更、俺様が来るべくして来たわけじゃねえか!!」
信長の命力がより強く、漆黒に燃える。
不吉の象徴とも言える深き黒き闇。
その底知れぬ不気味さを纏いながら、信長はいう。
「俺は、”死神“だ」
――――“死”を届けに来たんだよ!!
まるで黒衣を外套(マント)のように翻すと、三人目の神として、信長はこの場の誰よりも速く飛び出した。
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