闘い続ける者たち

256/323
前へ
/1227ページ
次へ
氷の大地を砕きながら相手を圧し伏せる信長。 粉砕された氷は紅く染まる空の光を反射させ、輝く。 (刀も、戦い方も……確かに) 彩られながら煌(きらめ)く氷の雨。 そして、その衝撃によって起こる風。 (確かに……お前だ) 地表を疾り、足元から伝わる衝撃波は、私の髪を勢いよく後方へと流す。 (なのに、何故だ?) その信長らしい闘いを目にして、それでも尚、私は思う。 説明できないことなど、この世界なら幾らでもある。 (それでも、) 何かが違うと、私の心によぎる。 「消え失せろ……!!」 土方の顔面を押し潰したあと、宙に浮かび距離を取る信長。 その背も、その言葉も――――。 すべて、お前(信長)なのに。 「…………ククク」 ハハハ、と渇いて響く高らかな嗤い声。 「消え失せろ?だと……?」 土方の額から流れる血液。 その口元まで流れる血を、拭うこともせず、舌を這わせ舐める土方。 「人間てのは元々、神が創りだしたもんだろ?」 なら、受け入れろよ。 「そんな神(運営)が生み出した純粋な人間(プレイヤー)の意思……」 それこそが、神を脅かす“兵器”なんだってな。 「少なくとも、“黒田”はそう願ってたぜ?」 このゲームの製作者である名前だけを残し、土方は再び私たちに牙を突きたたて始めた。  
/1227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28693人が本棚に入れています
本棚に追加