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この戦闘の中、初めて見せる土方が仕掛ける近接戦。
刀というものを超越した武器を掲げるように振り上げ、斬りかかる。
「黒田か……」
その名前を出せば、誰もが恐れおののくとでも思ってるのか?
「相変わらずクソッタレな奴だ……」
信長は躱す素振りさえ見せず仁王立ちでその攻撃を待つ。
叫び、怨み、怒り、悲しみ。
それら負の感情をすべてまとっているような冥府の炎。
澄みきった静止する氷の世界で、それだけが轟々と存在を大きく示す。
「そのまま死ねよ、信長!!」
「お前に俺は殺せねえよ」
構えも、防御もとらず、ただ土方を見る信長。
(何を考え――――)
そう思う瞬間、二人の間を割って入るもう一人の神。
「……ったく、加勢しにきたのか邪魔しにきたのか、ハッキリしろ!!」
神刀を持つヒカルが、その斬撃を受け止める。
「貴様!?」
「悪くないタイミングだ」
十兵衛より遅いけどな、と付け加える信長。
「ブラックアウトで一、二を争うスピードの持ち主と比べられたら……誰だって”遅い”だろう」
刀を解放したのか、衝撃をいなすことなく真正面で受け止めるヒカル。
「そうかもな」
そういうと、信長は体勢をぐっと低くして、力を溜め始める。
「少し……強くいくぞ!!土方」
纏う力を漆黒から碧へ。
煉獄の炎へと変化させると、その拳で信長は土方を吹き飛ばした。
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