28693人が本棚に入れています
本棚に追加
『今日から、私は――――神』
再度、そう決意したからか、不意に蘇る懐かしい記憶。
あの時、初めてその名を決めた瞬間から……いや、もっと以前からかもしれない。
『神、そんな顔をするな!!士気に障る』
厳しくも、いつも私に気に掛けてくれていた劉備。
『神―、何してるのー?』
私のことを信じ、何も訊ねることなく、一切の疑問を持たずついてきてくれた曹操。
『神、最善の策はこれしかありません。どうか、御英断を』
(孫権……)
いつも私の意見に反発していたのは、すべて私を不安因子から守る為。
(私の運命が決まったのは……)
あの三人とあの時、あの場所で出逢い、共に時を過ごしたときから。
(お前たちがいたから此処までこれた……)
皆がいたから、私は強くいれた。
「だから……!?」
(後悔は、させない!!)
私の感覚に届く気配は三つ。
何度、確認してみても、そのすべてが孫権と曹操のものではない。
迷い、願い、刀を振り続ける牛若丸。
命力を使い切ったのか、ひたすら戦闘開始時に生み出した亡霊兵団に身を守らせる清盛。
(そして、)
私の近くから離れていく十兵衛。
『神、今すぐメビウスの輪を解散してほしい』
何の前触れもなく、突然、私たちの前に現れたお前が出会い頭に放ったあの言葉。
「“真実に到達しうる者(コクマ)”か……」
目の前で始まる激しい命のやりとりの中、私はあの決断の日を思い出し、何故か笑えた。
最初のコメントを投稿しよう!