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せめぎ合う刃。
重ね合う度、世界そのものに干渉するほどの衝撃が、大気を伝わり外側へと波を打って走る。
「なら、それに応えるのが男の役目ってとこか?」
音も、衝撃も、そのすべてが今までの闘いを越えた規模で広がり続けていく。
「さあな」
私は嘲笑を浮かべながら、激しく震える大気の中で、斬り合う。
「ちっ」
厄介な女(ヤツ)だ、と舌打ちする土方。
「逆に、厄介じゃない女なんて今までいたのか?土方?」
発生する衝撃波に髪を揺らせながら、私は問い返す。
「あー、いなかったな。ありがたいことに」
「だろう?」
ギギギ、と、刃をこすり合わせながら鍔迫り合いの形になる。
「それも……そうだ」
互いに腕を震わせ、刃越しに対面する二人。
「でもな、」
その中で土方はいう。
「俺のいうことを聞かなかった女も、今までいなかった」
そんな王様らしい言葉を吐くと、土方は刀を引いて、私の体勢を崩す。
「なっ!?」
(しまっ!?)
「ほらな、」
ボディがガラ空きだぜ!!
体勢を立て直す隙さえ与えず、土方はそういうと、私の肚に氷の拳を突き立てた。
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