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左右にある肋骨の真ん中、その中心を打ち抜く土方の左手。
「うぐっ!!」
私は身体をくの字に曲げながら、私はその衝撃を受け入れる。
「凍れ」
絶対的な命令を言葉にし、拳の先から能力を発動させる土方。
触れた先、私のローブの上から氷のインジェクションが襲いかかる。
(でも、)
これで、いい。
私は、その腕を掴みながらいう。
「……殺せ!!」
相手が攻撃を繰り出すときこそ、最も隙ができる。
(信長……ヒカル……)
私の言葉を待たず、二つの神は土方へとその刃を振りかざす。
(私もろともで構わない……)
コイツは、今ここで殺さねばならない。
「神ぃ!!!!」
インジェクションを放ちながら顔を歪める土方。
(そう、叫ぶな……)
「なあ、土方」
そんな敵に、私はこみ上げる嗤いを噛み殺しながらいう。
「その片腕で守れるのは、一つだけ」
左右から狙う、信長とヒカルの刃。
どちらかを守っても、もう片方の刃がその首を狙うのだ。
「殺されたい方を選ぶなら、どっちだ?」
それは、酷く不平等な二択。
どちらを選んだとしても、その先には自身の死しかない。
(それでも、)
「死に方を選べるだけ、まだましだろう?」
介錯人だけは選ばせてやる。
凍りついていく身体。
私は、この身をていすることで、その勝利の為の犠牲にした。
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