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うおおおおぉぉぉぉ!!!!
猛る漢達の叫び。
冷たく静止していく私の身体を、近づく二つの声が震わせる。
「なあ、土方……」
中心から白く色彩を失っていく私の身体。
(お前の敗因は、誰かを頼らず一人で王になろうとしたその傲慢さだ)
それこそ、新選組を捨ててまで。
(お前が仲間に加勢しなかったのも、そして今、誰もお前に加勢しないのもそうだ)
このチームは既に残り火。
近藤勇の幻影を追った隊士たちと、それと違う道を選んだ土方。
その間にある、決定的な違い。
人は“繋がって”初めて強くなれる。
「お前の後ろに、今……誰がいる?」
「貴様っ!?」
私には、いる。
私が死んだ後も、その意思を汲んで、真実を求め続けてくれる人間が。
それを、今。
「悔いて――――死ね」
この心臓が止まるのが、お前より一秒でも遅ければいい。
死ぬ覚悟をしたものと、そうでないもの。
死を前にしてどちらが強くいられるかと問われれば、間違いなく前者。
(私は死を以て、本当の意味で”神“になろう……)
何年、何十年後でも構わない。
誰かがこのゲームをクリアしたとき、その長く長い伝説の一端に出てくればそれで。
(だが、土方!!)
お前は、王は疎か“英雄”にさえ程遠い。
(まだ、近藤の方が相応しかった……)
凍えて麻痺していく神経の中で、私はそう思いながら最後の刻を待った。
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