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新選組創設者にして、その局長だった近藤勇。
強かった。
人としても、チームとしても。
クエスト“逃げ惑う強き存在”
そのクエストボックスを巡り戦ったのが、私と近藤の最初で最後の舞台。
私たち(メビウスの輪)にあの場所を絶対渡さないという強い意思と、絶対にメインストーリーに辿り着くという決意。
(結果として、我々の国内クエスト攻略は阻まれた……)
あのクエストボックスの元、互いに片腕を負傷し、それでも月光(つきひかり)の中で戦い続けた夜。
懐かしいなと眼を細め、想いを巡らせる。
ドスンっ!!
「っ!?」
その中で不意に響く、胸元への衝撃。
(……なんだ!?)
土方の絶対零度といえる攻撃は受けいれた。
あと、私を攻撃するものは何もない。
この後に続くのは土方を襲う、信長とヒカルの刃だけなのに……。
(なにの、何故……)
何故、私の心臓を抉り出す者がいる?
ドクンドクンッと強く脈を打つそれ。
手のひらの中で脈々と鼓動を繰り返す心臓。
「盛者必衰……実者必虚……」
そして、その後に続く聞き覚えのある声。
「なんだと!?」
私よりも先に声を出したヒカル。
当たり前だ。
――――信長とヒカル。
その攻撃を二者択一で防御すると思っていた土方が、当たり前のように自分の刀の軌道に呼吸を合わせていたのだから。
「阿呆が……」
王は盤面に常に二人。
「言っただろう?私が敵陣に”入玉”する理由は、負ける確率を減らす為だと」
さっきまでいた信長ではない、清盛の低い声が響く。
「味方が王将を刺せば、局面は“ゼロ”になる」
それがこの世界(ブラックアウト)のルール(秩序)。
つまり、仲間殺しは、勝利も敗北もないということ。
「そして、残るのは“私の作戦によって多くの人間が死んだ”という事実だけだ」
それが何を意味するか、分かるだろう?
「お前は、神なのだから」
その言葉で、私はすべてを理解してしまった。
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