28693人が本棚に入れています
本棚に追加
(やめろ……)
「さあ、これが、お前の殺してきた者の末路だ」
(やめてくれ…………)
「そして、それをすべて統べるのが、私――――」
平清盛。
「お前もその一人に加わり、生きていく」
心臓を抉られ、奪われ、立ち尽くす私。
「その土方と……同じように、か?」
運命に抗(あらが)うように、私は笑ってみせる。
「気づいていたのか?」
「じゃなきゃ……理屈が合わない」
(私の遠視”ループ・アイ”の秘密が筒抜けなのも、これだけ私たちの希望の相手を新選組がぶつけてきたのも……)
そもそも、土方はあんなに持論を言葉にする人間ではなかったはず。
「おそらく、家康相手に命力を使い切ったフリをしたのも……わざとだな」
その後に、清盛は能力で自分の偽物を創り出して入れ替わった。
清盛の能力は、創り出した分身では相手に攻撃することができない。
しかし、それも命力がなくなったフリをして、逃げ回っているように見せれば、怪しまれない。
そして――――死んだ信長を憑依させ、私たちの前に現れた。
「信長の黒衣は……わざわざ用意したのか?」
「まさか」
私の能力は充分に熟知しているだろう?と、そういう清盛の言葉。
「あれは正真正銘、信長の最後の姿だ」
どれだけ考えても、私の予測を上回る現象は起こる。
「それが、このブラックアウトという盤面(ゲーム)の面白いところでもある」
そいうと、決着をつけるように私の心臓を、目の前で清盛は握りつぶしてみせた。
最初のコメントを投稿しよう!