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20分前『隔離世界』
―――――Bl@ck―――――
何故だ?
何故、死なない?
どうして、息絶えない?
滅び、得ない?
内蔵の半分は失われ、失血は致死量を超えている。
(それでも、何故――――)
「何故、立ちはだかる?」
手に持つ刀は砕け散り、その存在さえ削り取られ……。
「約束…………したんだよ」
仲間と、戦友と。
手で触れれば倒れそうなくらい脆い呼吸を繰り返しながら、織田信長はいう。
「お前を倒して……全部、取り戻すってな……!!」
光刀だけじゃない。
「未来も、過去も、現在も!!」
―――――全部!!!!
より一層、身に纏う魂力を奮い立たせる信長。
(なんだ、それは!?)
身に纏う羽織を、信長は黒く染め上げ、より強い法衣へと変質化させる。
「能力の侵食……それも、物質変化に至るだと?」
(おそらく能力の感染……)
それも、それほど迄に強い影響力をもった力でなければ成し得ない、奇跡と呼べるクラス。
「闇には闇……これで、お前の攻撃も少しは防げるだろう?」
瀕死な状況で、こうも嗤う人間がいるなど。
(それに、あの法衣……)
私の攻撃を軽減させるどころではない。
おそらく、私の攻撃など属性ごと無効化するほどの力をもっている。
(織田……信長め!!)
もっと攻撃的な土方と同じ火(赤)の属性を、その魂にもっていると思っていたのに。
「……計算外、だ」
まさか、コイツの持つ“約束”という概念。
それは自分自身の魂が持つ“根源”さえ変格させることが出来るレベルだったなんて。
誰かの為に自分の信念を曲げるのではない。
誰かとの約束を執行する為ならば、己自身の性質(属性)さえ変えられる。
(命を懸けることさえ……きっと、厭わない)
躊躇(ためら)わない。
「レベル……Ⅴ(ファイブ)だ……」
私と信長。
この二人の戦いが結末を迎えようとする中、私は目の前の人間の警戒レベルを引き上げた。
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