プロローグ

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 戦争、戦争、戦争――――。  人間と言うものはいつの時代も欲望を求めて争う。その欲望を満たすため、あらゆる国・部族間で戦を繰り広げてきた。  全てを力で支配し、勝てば様々な利益を得る事が出来るが、負ければ待っているのは――。     †    †  この世界もまた例外では無かった。100年前、世界は大きく3つに分かれており、1つは〈ジオラス帝国〉。  現在は世界の半分近くにあたる領土を占める程の大きな帝国になったが、最初はとても小さな国だった。  何処の時代でも必ずいるであろう、支配欲に溺れた独裁者が国のトップになってからと言うものの、政治は秩序が乱れやりたい放題。  権力を利用して国を動かし、周囲の国を次々と侵略していった。  この世界では、国のトップが変われば、それに応じて政治も簡単に動く。  戦時中、この独裁者が死に、独裁政治は終わりを告げ、人々は歓喜に満ちあふれた。  それからの話を要約すると、ある人物が政権に出馬する時に、国民がもっと平和に暮らせるように~うんちゃらを謳い文句にしていた。  当選するまでは実際により暮らしやすい国作りの為の法案を考えたり、夫々の州に赴き、実際に国民の意見を訊いたりと、大多数の人が好感を持ちそうなパフォーマンスを繰り返した。当然多くの者がその行動、法案に好印象を抱き投票。  見事に圧勝といえる当選を果たした。  そして現在の3代目に継がれるまで、ジオラスも民主主義に変わり、以前とは打って変わった暮らしやすい治安の良い国になった。  しかし、この国王の孫が3代目が就任してから数年。  突如権力や軍事力に物を言わせ、逆らう者を徹底的に見せしめとして殺していった。  まるで人が変わってしまったかのような変貌ぶり。  国王の言うことに懸念を抱き、逆らう者や苦言する者もいたが、そういう人達は違う部隊に移されるか或いはクビにされていった――。  今までは国の為に貢献されていた故に、急に頽唐された事が信じられなく、動揺を隠せなかった。  しかし、逆らえば殺されてしまう――。皆それを危惧し、言うことを訊いてしまった。  再び独裁政治の幕が開かれた。
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