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「危ないっーー。」
桜が叫ぶが、青年は笑みを崩さないままさらり避け、刀を一振りして浪士を斬り捨てた。
「てめぇー、仲間に何しやがる。」
「やっちまえー。」
「おぅ。」
残りの浪士が一斉に斬りかかったが、青年はそれも難なく避けた。
次の瞬間には、その場に立っている者は、青年だけになっていた。
桜は目の前の光景にただ、目を見開いていた。
青年は刀の血を拭うと、さっさとその場所を後にしようとしたが、桜の声がそれを制した。
「待ってー。」
「何?」
「何で助けてくれたん?」
「別に、俺は君を助けた訳じゃないよ。
ただ暇潰しをしただけ。まぁー、弱すぎて暇潰しにもならなかったけど。」
青年はクスクスと笑っている。
それから思い出したように付け加えた。
「あぁー、それと君の容姿じゃよく目立つから早く帰ったほうがいいよ。」
それだけ言い残すと「またね。」と言って去っていった。
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