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「記憶喪失な上に、別人格・別世界の記憶が上書きされている」と
信じはじめていたのです。
どちらにせよ私には別人としての人生を生きていく事しか
選択肢はありませんでした。退院後に父や母や妹に連れられ自宅に戻りました。
「思い出せない?」と両親から聞かれましたが、
それは初めて見る家に初めて見る街並みでした。
私はカウンセリングに通いながら、必死にこの新しい人生に順応しようと
思いました。
私に入ってくる単語や情報には違和感のあるものとないものに分かれました。
都道府県名や国名はどれも初めて聞いたものばかりですし、
昔の歴史や歴史上の人物も初耳でしたが、大部分の日常単語については、
違和感はありませんでした。テレビや新聞、椅子やリモコンなどの
日常会話はまったく違和感ありません。
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