188人が本棚に入れています
本棚に追加
/311ページ
(近所の人かな?今時着物なんて変わった人だなぁ)と思いつつ、
「こんにちは。」と頭を軽く下げながら挨拶をしました。
すると表情のあまりなかった男の人が嬉しそうに目尻に笑みを浮かべて、
「こんにちは、お嬢。」
と挨拶を返してくれました。
(お嬢?この辺では女の子のことをそう呼ぶのかな?益々変わった人だ。)と思いながら、
なんとなく気まずかったので、視線を樹の枝へと戻しました。
ですが、その男の人は立ち去る気配を見せず、恐る恐るそちらへと視線を向けました。
男の人は少し寂しそうな顔をして私を見ていました。
居心地が悪くなり、私の方が立ち去った方が良さそうだと判断し立ち上がりました。すると、
「お嬢は楽しく暮らしてますか、今幸せですか。」
寂しそうな顔のまま男の人が話しかけてきました。
最初のコメントを投稿しよう!