根付

7/14
前へ
/311ページ
次へ
立て続けに起きた良く分からない状況と、初めてのとんでもない恐怖にパニックを起こしかけたその時、 すっ、っと私の視界は黒い者から遮られました。 男の人が私を背に庇うようにして間に入ったのです。 「大丈夫ですよ、お嬢は絶対俺が守りますからね。」 振り返らずに男の人がそう言いました。 声が出せなかったので、頼もしい背中と言葉に泣きそうになりながら、ただ何度も頷いて返事をしました。 息苦しさで過呼吸を起こしたのか、その後は息をするのが苦しい!!と思った所までしか覚えておらず、気がついた時には。 頭を撫でられる感触に私は目を開けました。 そこはあの神社。 暖かい日差しと大きな樹、私はブランコに座っており、傍らにはあの男の人が私の頭を撫でながら立っていました。 あの黒い者のことを思い出し、バッ!っと神社の入り口を見たのですが、そこに黒い者の気配はありませんでした。 ほっと息を吐いたのと同時に、男の人が私のことを庇ってくれていたことを思い出しました。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加