パンドラ(禁后)

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私が中学にあがってから何ヵ月か経った頃、ある男子がパンドラの話に興味を持ち、ぜひ見てみたいと言いだしました。 名前はAとします。 A君の家はお母さんがもともとこの町の出身で他県に嫁いでいったそうですが、離婚を機に実家であるお祖母ちゃんの家に戻ってきたとのこと。 A君自身はこの町は初めてなので、パンドラの話も全く知らなかったようです。 その当時私と仲の良かったB君・C君・D子の内、B君とC君が彼と親しかったので自然と私達の仲間内に加わっていました。 五人で集まってたわいのない会話をしている時、私達が当たり前のようにパンドラという言葉を口にするので、気になったA君がそれに食い付いたのでした。 「うちの母ちゃんとばあちゃんもここの生まれだけど、その話聞いたらオレも怒られんのかな?」 「怒られるなんてもんじゃねえぜ~うちの父ちゃん母ちゃんなんか本気で殴ってくるんだぞ!」 「うちも。意味わかんないよね」 A君にパンドラの説明をしながら、みんな親への文句を言い始めます。 ひととおり説明し終えると、一番の疑問である「空き家に何があるのか」という話題になりました。 「そこに何があるかってのは誰も知らないの?」 「知らない。入ったことないし聞いたら怒られるし。知ってんのは親達だけなんじゃないか?」 「だったらさ、何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」 Aは意気揚揚と言いました。 親に怒られるのが嫌だった私と他の三人は最初こそ渋っていましたが、Aのノリにつられたのと、今までそうしたくともできなかったうっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意します。 その後の話し合いで、いつも遊ぶ時によくついてくるDの妹も行きたいという事になり、六人で日曜の昼間に作戦決行となりました。
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