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顎を捕まれた美那は、怯えながら震えていた。
すると百合が、男の手を払って言い返す。
「ちょっと!
うちの連れに、触らんといてえな!!」
威勢よくいうが、男たちは怒るどころか厭らしい視線で百合を見た。
「お!
こっちの女は、異人の格好をした遊女か?
艶があって、勝ち気ときた!」
「いけないな~。
そんなに肩や足を出したら寒いだろ?」
「俺たちが暖めてやるから、感謝しろよ」
その言葉で皐月は手前にいた男の急所を蹴り、百合はピンヒールで、もう一人の男の足を踏みつけた。
固まる美那を掴んで、三人は走り出した。
しかし後ろから、残りの男たちが追ってきた。
「ちっ、しつこい!」
「あかん百合。
ココは幕末かも」
「まじ!?」
突然、現実味のない話に引き戻された。
「さっきあいつら、私たちのこと“異人”ゆうとった!
しかも話のニュアンスからして、異人なら殺そうとしとった」
にわかに信じがたいが、そうも言っていられない。
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