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「ん…ぅ」
かっこいい人の腕の中にいたそいつが起きた。
「おはよう、もう少し寝ててもよかったんだよ?」
「ん、副委員長おはよ…」
寝ぼけた声で話すそいつに皆が優しい目を向ける。
何で?
その目を向けられるのは俺でしょ?
何でそんな奴に向けるの?
「君はわかってない」
「…っ!?」
俺の傍に立っていた男が突然口を開いた。
「この学校の中心は君でも生徒会でもなくて和人なんだよ」
「何だそれ…、何であいつがそんな……」
「和人は暖かいから。君みたいに偽善の押し付けなんかしないで包み込んでくれるから。だから和人は愛される」
偽善の押し付け?
そんなことしていない。
困っているから手を貸してあげてただけだ。俺は悪いことなんてしてない。
「だからさ、」
君みたいなのはお呼びじゃないんだよね
そう言ってそいつは俺を冷たい目で睨んできた。
そいつの周りの奴らも同じ目で俺を睨む。
何だよこの学校。
おかしい、何で俺を愛してくれない。
俺は愛されるべき存在なのにっ!!
俺は風紀室を飛び出した。
ああ、ああ。
俺を愛してくれる人は何処にいるの…?
――玉を巡る二人の愚者――
(一人は玉を求め)
(一人は玉を憎む)
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