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「威杜ーっ!!早く食堂行こうぜっ!!」
そう言って僕の手を引く転入生。
あれから一月。
転入生は面白い程僕に懐いた。いや、依存と言ってもいいかもしれない。
…よし、今日で終わりにしよう。もう十分だよね。
僕たちが食堂に入ると生徒たちが静まり返る。
しょうがないか、転入生は嫌われてるし僕は和人や風紀以外には恐れられてるからね。
「今日はデミグラオムライス食おーっと。威杜は何食うんだっ!?」
僕が食べるのは君の絶望だよ、なんてね。
「うーん、僕はとろろそばにするよ」
にっこり笑うと転入生は赤面する。あはは、滑稽だね。
「威杜」
その時甘いテノールが僕の名前を呼んだ。
僕の大切な人の声。
「和人っっ!!」
僕は満面の笑みを浮かべて和人に抱き着く。
「和人どうしたの?何か用?」
「お前、何企んでるんだ…?」
何ってそりゃあねぇ…。
あ、でも和人に言ったら怒られそうだ。
うーん、怒られたくないなぁ…。
そんなことを考えていたら転入生がガタッと立ち上がった。
「な、何で威杜そんな奴にくっついてんだよっっ!!」
叫ぶ転入生。
うっわウザイ。和人をそんな奴呼ばわりなんて身の程知らずにもほどがあるよね。
「ふーきいーんちょーさーん」
「何だ」
「今日は昼休み委員会あるんだよね?」
「いや、ない「あるんだよね?」…ああ、風紀委員は今から風紀室に集合だ」
近くにいた風紀委員長をちょっとだけ威圧すると呆れながらも風紀委員長は僕の意を汲んでくれた。
頭のいい人はだーい好き。和人はもっと好きだけど。
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