過去形の恋心

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「和人…」 今まで硬直していた紀一が俺の名を呼んだ。 「何、会長。あと俺のことはこれから風紀とでも呼んでくれ、不快だから」 無表情で言い放つ。 「それと先生方からの伝言。生徒会及び転入生は授業の出席日数が足りないから来年留年だってよ。よかったな」 愛しの転入生と共にいれる時間が増えて。 俺の言葉に青ざめる信者たち。 そりゃそうだろう、留年だなんてレッテルは一族の恥だもんな。 転入生は転入生で何で留年しなくちゃなんないんだ、おかしいっ!!だのとほざいている。 最後に一言。 「会長、恋愛感情を教えてくれてありがとう。“愛してた”よ」 それだけ告げると俺は食堂の扉の前で待つ友人の元へと駆け寄った。 さようなら、俺の初恋。 ――過去形の恋心―― (気付いた時には) (終わってた)
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