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「ふむふむ、そうか、それならばその王国を支配下に入れれば人界でも屈指の戦力は手に入るわけじゃな。なるほど…」
魔王がなにか独り言を呟いているが聞かなかったことにしておこう。
「今では王も移り変わって10代目、ルーン=ハイドルという男が国王をしている。今回はその人とも謁見することになるだろう。気をつけておけ二人とも、彼はかなりの切れ者だからな。」
男は魔王討伐に際して謁見した、金髪を逆立たせた髪型でうっすらと嘲笑をする若輩の王の姿を思い浮かべる。
「でもなければ、あの年で六人兄妹の末っ子が王位なんか継げるはずがないからな。」
不意に謁見の時に見せた王の目を思い出す。
そう、まるで全てを見透かしているような余裕と威厳に満ちた王の目を…
果たしてバレずにやり過ごすことが出来るんだろうか。
魔王の魂が体の中にあって、その従者を連れているんだ、罪に問われれば間違いなく危険因子として死罪だろう。
「くっくっくっ、貴様も大変じゃな。」
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