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俺の苦悩を知ってかしらずが悩みの元凶がねぎらってくる。
俺もあそこで死んでたら英雄として語り継がれたのにな…
内心、そんなことをぼやきながら魔王の言葉に大きな溜め息で返した。
「ご心配には及びませんよ!この完璧なメイドである私が、バレてしまった時の逃走ルートの確保や潜伏先なんかの情報はもう仲間から入手してますから。」
俺が人界から追われる前提なのか。
確かに魔物をこうやって隣にいてもこの数週間のおかげで違和感は無くなったのだが、普通の人々にしてみれば恐怖の対象でしかないだろう。
再度、俺はメアーナの問いに溜め息で返す。
とても不安なんだが、どうしたものか。
「おぉ、何か建物が見えて来たぞ。あれがそうなのか?」
魔王が少し興奮した様子で、小高い丘を越えた先にぼんやりと見えてくる建物を見ている。
「そうだ、あれが王都にしてハイドル王国に与えられた唯一の国土、あの都市そのものがハイドル王国の全土…、要塞都市、ハイドル連邦王国だ。」
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