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「どうだ着心地は?」
「丁度いいよ、お兄ちゃん。」
ダボダボの外套に身を包んだメアーナは屈託のない笑みを浮かべて、よく意図が読み取れない言葉を言ってくる。
「お前は妹でも何でもないだろうに。」
とりあえず、冷静につっこんでみた。
人として見てもかわいい部類の顔をしている子にそんな笑みを向けられたら男として嫌な気はしない、だが、俺はそういう属性は持っていない。
「おかしいな、サラ様から貸していただいた人界の本の中に男はこう呼ばれたら喜ぶと書いてありましたのに。」
「それは間違ってはいないんだが…。」
間違ってはいない、一部の人間にはかなりヒットする呼称だろう。
残念ながら俺はその一部の人間ではない…はずだ。
「…………。」
そんなやり取りをしていたら、背筋にゾッとするほど強烈な殺意を感じた。
「ど、どうしました?魔王様。」
「別に。」
殺意はそのままに冷たくあしらわれる。
外套を着てはしゃぐメイドとなぜか怒ってる魔王、なんとも奇妙な構図だ。
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