プロローグ

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勇者達が王都に一人もいないだと? そんなバカな! 賞金稼ぎである勇者と呼ばれる者は俺みたいな放浪の者以外は王国などに抱き抱えられ、王国守護を任務とする兵士のような役割がある。 魔物討伐などに地方に出ることがあっても、侵略の危機がある以上は王国の象徴たる王都がもぬけの空になることは絶対にないはずだ。 「いったい何があったんだ?」 「かつてこの王国で英雄と崇められた元勇者で現宰相のクロイア=ファイザン殿はわかるわね?」 勇者である者なら一度は聞いたことがある名前だ。 この王国で最も戦果を残した勇者のことを知らないなんてことはないはずだ。 「もちろんだ。ファイザン殿とは何度か話したことがある。なんというか野心家だな。」 「そして、そんな彼が魔女や勇者をいきなり地方に駆り出して王都をここ数日でまったくの空にしたのよ。」 何かが起きる。 ここまで濃厚な“魔”の濃度だ。 魔王クラスの魔物が来たのか、あるいわ大規模な魔法的術式が行われているのかもしれん。
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