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一口飲むと、暖かい苦さが少女の口の中に広がりました。
サービスという事で出てきた小さなケーキに少女は手を付けました。
今度は飾り気のない甘さが口の中に広がりました。
また口に珈琲を含むと、余分な甘さが口から消えていきます。
美味しい。
少女は純粋にそう思いました。
サービスもきめ細かいし、料理も美味しい。
それだから昼でもこんなに人気なのだろうと少女は思いました。
そこに、10人程の男が店内に入ってきました。
全員、薄汚れた外套に身を包んでいました。
そして、入り口のすぐ近くのテーブルに全員が座りました。
少女はそれを見ると、まだ半分程残っているケーキの皿に銀貨を二枚置きました。
「御馳走様。美味しかったです。……運ってのはそんなものですよ」
少女は高い、小さな声でそう言いました。
首を傾げるバーテンダーを横目に少女はリュックを背負って歩いていきました。
少女がドアを開けると、丁度さっき入ってきた男達がウェイトレスに注文をしているところでした。
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