14人が本棚に入れています
本棚に追加
ですが、少女はその無表情を保ったまま言い返します。
「私には名も無い。だから、旅した場所には自分からは絶対に関わらない。それが、例え誰かを殺すことになっても。だけど、自分の命は守る。それが私の生き方」
二人の男は呆れたような顔をしました。
そして、少女へ同時に銃を向けました。
しかし、少女は続けます。
「私は極端だけど、誰も同じ。自分が一番大事。でも…、その中でもいろんな考えがある。私はそれを自分の眼で見たい。だから私は旅を続けてるの」
そこまで言うと、少女は黙りました。
二人の男は顔を互いに見合わせると、銃を持っている手の人差し指に力を加えました。
その時、砂漠の街に二回だけ、乾いた音が響きました。
その街の人間はその後の少女の行方を誰も知りません。
それどころか、少女がこの街に来たことすら知らない人が殆どです。
さらに、知っている人も一月もしたら綺麗さっぱり忘れてしまいました。
路地裏にあった眉間を撃ち抜かれた二人の外套を着た男達の死体は最初に見つけた賞金稼ぎが運び出し、警察でお金に換えたそうです。
その少女は今も旅を続けているそうです。
ただ、何処にいるのか、何をしているのかは誰も知りません。
最初のコメントを投稿しよう!