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「訳があり。先触れはしておりません。ですが、こちらにお住まいのお嬢様に 貴女の凛が来た といえば、すぐに来てくださるはずです」
まさかこんなところで、昔の名前を使うとは思ってなかった。
懐かしいな。お母さんがつけてくれた名前。
あのころは、下山凛だった。
僕は、名前も顔も知れてるから昔の名前を使った。
今も実は、大きな笠を頭にかぶって顔を隠している。
お屋敷の下っぱは、そう聞くとちょっと待ってろ といって、屋敷のなかに引っ込んだ。
数分後、そいつが戻ってきて無事、屋敷のなかにはいることができた。
長い廊下を延々と歩く。
突き当たりの部屋に差し掛かるころ、男が行きなり振り返り、
「この先の部屋だ。お前が誰かは知らねぇがな、俺はあんなお嬢様の姿をみたことねぇ。まぁ、ごゆっくりー」
真剣な表情で何を言うかと思えば。最後はなんだか丸投げだし。
そんなこと、気にしない。
どんな、お嬢様だろうと覚悟は決めてきている。
静かにふすまを開ける
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