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「新選組が今後どうなるか。教えてください」
それをきいてやっぱりという顔をする。
そして少し微笑むと、ある一点を指差す。そこには、十冊は重ねてある他の本たちと違い。和綴じの本が二冊重ねてあった。
「あれは?」
遠目で見ているのでわからないが、新選組と読むことができた。
「今後、新選組のみんなが歩むことになるであろう未来のこと。まとめておきましたなのです。まぁ、ユトがこの時代に来て未来が歪められていることも視野にいれて新選組が、これから付き合うことになるであろう人物のこともかいておいたのです。ある程度のピンチは防げると思うのです。嘘偽りなく書いたのです。持っていってくださいなのです。せめてもの……罪滅ぼしに。ユトには、酷いことしてしまったから」
里桜様はうつむきながら話してくれた。
「あ、あ、あぁ。ありがとうございます。ほんとうに、ほんとうに」
その思いが嬉しくて、嬉しくてたまらなくて涙が出た。静かに静かに、ただただ涙だけが頬を伝った。
最悪の再会も考えていた。もしかしたら殺されるかもしれないとも思った。また監禁されるかとも思った。
でも、そんなことなかった。
そんなこと
なかった。
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