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───ぎゅるるるるぅ
「腹が………」
授業の終わり、案の定お腹の虫が暴れだした。
「なんだ今の音、腹なのか…?」
横では拓海がとてつもなくビックリしている。えぇいこの現状を作った張本人め。
「拓海が100円しか貸さないからだろ」
恨めしそうに拓海を見て、力尽きそうに吐き出した。
「はは、悪い悪い。それじゃ別の事でそっちに気を取ればいいじゃねぇか」
全く悪びれない様子の拓海がそんな事を言った。
「例えば?」
「例えばって……あ!そうだな、こんな話はどうだ?」
一瞬考えたのもすぐに、拓海が何やら思いついたようだ。このニヤニヤ加減は嫌な予感しかしないな。
「この学校にはな?最近、夏になってから幽霊が────」
「わー!わー!わー!聞こえないよー!」
脱兎の如く駆け抜ける僕。怖い話は苦手なんだ!
「あらら、走ってった」
どこまで幽霊が苦手なんだと遠くに見える巧の背中を見ながら、拓海は笑った。
「鞄忘れてるよアイツ……ま、明日もここ来るんだしいっか」
拓海は逃げ出した誰かさんの背中を歩きながら追った。
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