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まだ5月だというのに猛暑のように暑い今日、社内はクーラーが効いていて快適に過ごせている。
「暑いけど、社内は快適ですよね!」
「あぁ、そうだな…ん、そうだ、大島君、悪いがアイスを買ってきてくれないか?それと、ストロベリーシェイクも頼む」
「アイスと…ストロベリーシェイクですか…了解しました、すぐに買ってきますね」
大島が部屋から出るとビバリさんは俺の方へ目をやった。…やっぱりそうだ。
「…ルイ、君が飲みたがってたストロベリーシェイク…頼んでやったぞ?」
「課長…僕、頼んだ覚えがないんですが…」
昨日の晩、いつものように夜明けまでビバリさんと愛を確かめあっていた。俺がぽつりと呟いたのは何か甘い飲み物が飲みたいと言っただけ。ストロベリーシェイクだなんて一言も発していない。
「まさか課長が飲みたかったんじゃないです?」
「…ルイは冴えてるな」
「…全く貴方って人は…」
はあ、とため息をつくとビバリさんは妖艶な笑みを残して背後にまわった。
「でも、私はルイのバニラシェイクが飲みたいんだ…なあ、いいだろ」
「ダメですよ、大島が戻ってきたらどうするんです」
立ち上がってロッカーの方へ歩むとそのままビバリさんに叩きつけられた。豪快な音を立ててビバリさんは顔を近づける。
「俺のストロベリーからもう…シェイクが溢れてるんだ」
「…ビバリさん」
「ルイ…!」
触れるだけのキス、から艶かしく情熱的なキスに変わった。ビバリさんは俺のネクタイに手をやり、ゆっくりとそれをほどく。
「ルイの身体…もうこんなに熱いな」
「ビバリさんこそ、溶けそうなくらい熱い…」
「ルイが熱くしているんだよ」
「ビバリさん…」
その言葉でまた俺の中が熱くなる。真夏のような暑さではなく、心の底から込み上げるようななんとも言えない熱さ。
「ビバリさんの…ストロベリーシェイクが欲しい…」
「…そうだな、ルイにだけテイクアウト可能にしておこう、私もルイをテイクアウト…したいのだが?」
「年中無休で僕はビバリさんの物ですよ…」
(入れないし、アイス溶けちゃうよ~…)
大島がどのタイミングで部屋に入ろうとしてたか、だなんて二人は知るよしもなかった。
end.
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