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「ビバリと呼んでくれ、と言っただろう…?」
独特のある低音で艶かしく囁くビバリさん。その声にぞくり、と興奮した。
「それからどうした?まだ私に何か用か?それとも…」
僕の元へ歩み寄って近づくビバリさん。さっきより鼓動が速くなって音が気づかれてしまうんじゃないかってくらい振動が酷い。
「私から目をそらすな…ルイ」
唇が近づく。吐息がかかる。
怪しく笑うビバリさん。
僕はいつの間にか壁際に追い込まれていた。
「これで逃げられないな?」
「っやめてください!」
ドン、と思いもよらない行動。ビバリさんを突飛ばしてしまった。ビバリさんはきょとんとしている。
「…どうした?」
「あの…っ、僕、しゃい…び、ビバリさんに近づかれたり、語りかけられたり、触れられたり、されると…ドキドキが止まらないんです!ビバリさんのこと、頭から離れなくて…それで、どうすればいいかわかんなくて…っ、僕、どうすればいいのかビバリさんに聞きたくて、」
何言ってるんだろう。呂律回っているのかな。ビバリさんはにやっと笑ってこう言った。
「だったら恋人になればいいじゃないか」
突然のこと。でも、嬉しい。
びっくりして床に座りこんでしまった。ビバリさんはそんな僕を優しく包みこんでくれるように抱き締めた。暖かい、今までで感じたことのない暖かさ。
「私のことをそんなに意識してくれていたのか…素っ気ない帰り方だったから嫌われたのかと思ったんだ」
「ビバリさんは…僕の心をかき乱しますよ、何も考えられないくらいに」
「ルイ…愛しているよ」
ちゅ、と頬にキス。
てっきり口にされるかと思ってたので僕はもう一度問いた。
「口にはしてくれませんか?」
end.
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